luna y perroluna y perro
日々のぼやき
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近付き過ぎた熱は昏い眩暈を引き起こした。細い大腿を片手で掴み骨が軋むほどに広げる。白い皮膚は青白い照りを帯びて網膜にいやらしく焼きついた。大腿の線はなまめかしい曲線と薄い肉を想像させる滑らかな直線に満ちている。
痛い、というこえは嘲笑を含んでいた。橙色の髪は白い首筋に張り付き流れる汗の発する熱と月光の反射を受けて艶のない血の赤にも見える。それら全てを眺め尽くしてから軟らかい肩を手で掴んだ。
白い肌と充血の赤いうねり。嗚呼、とナミが甲高くこえを漏らした。薄い皮膚は爪に抉られ鉄錆びのにおいを漂わせる。下等な、人間らしいその匂いは好きではない。だが片手でも余る薄い肩を解放しようとは思わなかった。陰のよぎる肢の間に肉塊を宛がう。汗が深く昏い匂いを周囲に撒き散らした。澱んだ汐と錆びた鉄。熱が与える隙のない苦痛にナミのひとみが幾分か細まり、顔が醜く美しく歪んだ。形の良いくちびるが拉げ、濡れた歯と赤い舌が露わになる。
「…莫迦じゃないの、」
くちびるは確かにそう蠢いたが息は声にはならず喘ぎの吐息にとって変わった。白い息すらも月光を受けて薄ら恐ろしい青白さに染まっていた。血の滲む肩から細い首へと、手を移動させる。血色に染まった掌で細く脈の浮き出たくびを絞めた。
赤みを帯びたかおはやがて苦しげに歪んだ。脈が手の内で踊っていた。粘液が零れくびすじの稜線を汚らしく濡らす。指の合間、半透明な膜に透けて頸動脈が薄らと見える。赤く細く自己主張を続ける脈。それを止めてしまいたいと願いながらまろい肉体を陵辱した。
「莫迦じゃないの。」
確かにナミのくちびるはそう動いた。しかし声は聞こえなかった。暗闇は全てを覆い隠す。澱んだ汐と錆びた鉄が、熱を帯びて眩暈を齎した。十分に絞めつけてから手を離す。流石にナミは小さな咳を幾つか吐いた。それが収まると楔を穿たれたまま、だらりと四肢を投げ出した。月光。肉体。直線と曲線の入り乱れた大腿には白い体液にまみれている。ナミは四方に視線をうつし、逆さまの月を目に留めてからゆっくりとその瞳を閉じた。睫毛から落ちる暗色の陰が、長く頬を過ぎって消えた。熱に耐えるようにと細い息を散らしながら辛うじて声になる喘ぎをあげる。
「もっと挿れなさいよ。」
分かってるんでしょう、とナミの瞼が蠢きを見せる。眼球の丸みを帯びた皮膚は花のような薄紅色で、同時に虫のような昏さも見せた。鱗の蔓延るてのひらで白い胸の中心に熱を与えると、ナミはそんなことは望んでないのよ、と理性を帯びた声色で云った。
「もっとぐちゃぐちゃにしなさいよって云ってるのよ。あたしの躯をあんたの汐臭い体液まみれにして、ぐちゃぐちゃに壊してって云ってるのよ。」
分かってるんでしょう、と。
「殺せば良いのか、」
問う。ナミはますます唇を歪めた。嘲る表情で瞳を見開き、莫迦ね、と優しく微笑んだ。投げ出された四肢のうち右手がゆるやかに上がり、空気のようにほほに触れた。鱗も汐の体液も、冷たい触感すらない異形な質感。熱を持つゆびさきが鰓を引掻き、去ってゆく。首筋の鱗を幾枚か剥ぎ取り、手は静かに胸元へと辿りついた。青銀色の鱗がこぼれてゆく。硝子みたいだわ、とナミは云い、それから感慨深げに「冷たいのね」と呟いた。
「……殺すよりも簡単でしょう?勃起するだけだもの。」
ナミが笑う。唇の端から唾液が零れた。唾液すら熱を帯びているのか白い蒸気が昇っている。
「…その、鱗の付いたあんたのものを、もっと深く挿れれば良いのよ。」
水面に映る月は逆の世界。
近付き過ぎた濃い熱は、水面を挟んだ逆側の世界。
痛い、というこえは嘲笑を含んでいた。橙色の髪は白い首筋に張り付き流れる汗の発する熱と月光の反射を受けて艶のない血の赤にも見える。それら全てを眺め尽くしてから軟らかい肩を手で掴んだ。
白い肌と充血の赤いうねり。嗚呼、とナミが甲高くこえを漏らした。薄い皮膚は爪に抉られ鉄錆びのにおいを漂わせる。下等な、人間らしいその匂いは好きではない。だが片手でも余る薄い肩を解放しようとは思わなかった。陰のよぎる肢の間に肉塊を宛がう。汗が深く昏い匂いを周囲に撒き散らした。澱んだ汐と錆びた鉄。熱が与える隙のない苦痛にナミのひとみが幾分か細まり、顔が醜く美しく歪んだ。形の良いくちびるが拉げ、濡れた歯と赤い舌が露わになる。
「…莫迦じゃないの、」
くちびるは確かにそう蠢いたが息は声にはならず喘ぎの吐息にとって変わった。白い息すらも月光を受けて薄ら恐ろしい青白さに染まっていた。血の滲む肩から細い首へと、手を移動させる。血色に染まった掌で細く脈の浮き出たくびを絞めた。
赤みを帯びたかおはやがて苦しげに歪んだ。脈が手の内で踊っていた。粘液が零れくびすじの稜線を汚らしく濡らす。指の合間、半透明な膜に透けて頸動脈が薄らと見える。赤く細く自己主張を続ける脈。それを止めてしまいたいと願いながらまろい肉体を陵辱した。
「莫迦じゃないの。」
確かにナミのくちびるはそう動いた。しかし声は聞こえなかった。暗闇は全てを覆い隠す。澱んだ汐と錆びた鉄が、熱を帯びて眩暈を齎した。十分に絞めつけてから手を離す。流石にナミは小さな咳を幾つか吐いた。それが収まると楔を穿たれたまま、だらりと四肢を投げ出した。月光。肉体。直線と曲線の入り乱れた大腿には白い体液にまみれている。ナミは四方に視線をうつし、逆さまの月を目に留めてからゆっくりとその瞳を閉じた。睫毛から落ちる暗色の陰が、長く頬を過ぎって消えた。熱に耐えるようにと細い息を散らしながら辛うじて声になる喘ぎをあげる。
「もっと挿れなさいよ。」
分かってるんでしょう、とナミの瞼が蠢きを見せる。眼球の丸みを帯びた皮膚は花のような薄紅色で、同時に虫のような昏さも見せた。鱗の蔓延るてのひらで白い胸の中心に熱を与えると、ナミはそんなことは望んでないのよ、と理性を帯びた声色で云った。
「もっとぐちゃぐちゃにしなさいよって云ってるのよ。あたしの躯をあんたの汐臭い体液まみれにして、ぐちゃぐちゃに壊してって云ってるのよ。」
分かってるんでしょう、と。
「殺せば良いのか、」
問う。ナミはますます唇を歪めた。嘲る表情で瞳を見開き、莫迦ね、と優しく微笑んだ。投げ出された四肢のうち右手がゆるやかに上がり、空気のようにほほに触れた。鱗も汐の体液も、冷たい触感すらない異形な質感。熱を持つゆびさきが鰓を引掻き、去ってゆく。首筋の鱗を幾枚か剥ぎ取り、手は静かに胸元へと辿りついた。青銀色の鱗がこぼれてゆく。硝子みたいだわ、とナミは云い、それから感慨深げに「冷たいのね」と呟いた。
「……殺すよりも簡単でしょう?勃起するだけだもの。」
ナミが笑う。唇の端から唾液が零れた。唾液すら熱を帯びているのか白い蒸気が昇っている。
「…その、鱗の付いたあんたのものを、もっと深く挿れれば良いのよ。」
水面に映る月は逆の世界。
近付き過ぎた濃い熱は、水面を挟んだ逆側の世界。
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