luna y perroluna y perro
日々のぼやき
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嗅覚は鋭い。常人には在り得ない独特のその感覚は、日常に満ちる匂いはともかく異能の者をよく嗅ぎ分けた。
生きる為の術なのだと思う。この世界で混血の血を守るためには闇に潜むさまざまな敵を見極めなければならなかった。当主としての定めだと、そうして自らの生きる領域を確保しなければならないのだと、自覚するたびに自らの存在が矮小であると思い至る。
世界から疎外されているのだ、本来ありうるべき姿ではない。
そのおとこを見た瞬間、感覚は刃のような鋭さをもって脳髄を刺激した。存在すべきではない存在――おとこと良く似たひとを知っていた。よく似た、どころではなく目の前に佇むおとことかの人は明らかに表裏一体ほどの近しさを持っていた。表と裏。過去と現在。なのに雰囲気はまるで違う。かのひとが包み込むような眼差しで「秋葉」と呼ぶ、そのくちびると寸分違わぬくちびるが蔑むように歪み「おんな」と呼んだ。
侮蔑の響きを伴った口調。こちらを見下す濃い虹彩。
吐き気がした。この世に居て良い存在ではない。あの人と全てを共有し尚且つ拒絶しあう存在など――嘔吐感は脊髄を駆け上がる熱になり、やがてそれは全身の皮膚を這っていった。髪の先が重くなり、熱が点る。その感覚はひどく心地よいものだった。毀していいのだ、と自らの奥底で暗く低い声が木魂して螺旋を描く。
「愉しいだろう?」
おとこは唇を引き裂いてわらう。狂気に満ちた笑声に、紅く燃えた身体が跳ねる感覚を覚えた。殺したい、このおとこを。深紅に染まった視界のなか、佇むおとこを見据えて思う。
おとこは特に緊張感もない所作で懐にそっと手を入れた。引き抜く。無骨なてのひらに小刀が握られていた。月の光を浴びて刀身が一瞬きらめく。あのひとも、同じ小刀を持っていた――大事そうに柄を握るあのひとの横顔を思い出した瞬間、目蓋の裏に白い残像が走って消えた。その残像の意味をことさらに考えることはしない。残像の消え去った目蓋の裏は闇一色で、その漆黒に恍惚にいどろられた言葉が重なった。
殺したい。
このおとこを。
祈りにも似た意志が意識に侵食するよりも速く、肉体は反応していた。地面を蹴り、飛び上がる。脹脛の筋肉だけでおとこの上背よりも高く飛んだ秋葉を、おとこは興味深げに見上げていた。闘う気配は微塵も見せない。だが熱に包まれた手でおとこの頭を潰そうとしたその刹那、おとこの気配が掻き消えた。
ゆびさきが地面を抉り、異能の熱がアスファルトを溶かす。腐ったガスのような臭い、煙。おとこの声が背後から聞こえた。
「面白いだろう、秋葉?」
秋葉、と。
歪んだ口調のなかで名を呼ぶその声だけは、あのひとの声に酷似していた。わざと似せたのだろう。檻髪を靡かせて振り向くと、おとこはまだ笑ったままこちらの様子を伺っていた。
「貴様は俺に似ているよ、」
「……それは酷い冗談ね。」
「似ているのさ、なあ秋葉」
名を呼ぶな、そう罵りの言葉が唸り声になって咽喉外へと漏れ出した。おとこはわらう。赤い舌を、鈍く光る刀身に宛がう。
「貴様が殺したいのは俺なのか?」
このおとこは一体何を言っているのだ。秋葉は口角をあげて「あなたよ」と告げた。
「兄さん以外は要らないのよ、この世には」
「違うだろう、秋葉?」
秋葉、と。
おとこは真綿のように言葉を和らげ。
「貴様がころしたいのは向こうの七夜だ。貴様はあの眼が欲しいのだろう?」
――秋葉。
おとこのことばに誘われ、一瞬だけ、あの人のひとみを抉る夢を見た。
終わり。
→勝手な設定として、秋葉さんは坊ちゃんの眼が欲しくて欲しくて仕方が無いとか内心思ってますみたいな感じでいきたいのですが如何でしょう。(如何でしょうって)でも坊ちゃんを前にすると傷つけることはできなくて、だから七夜の前だと普段は押し殺している殺意が満開になるんだぜ!みたいなのが燃えると思います。…微妙ですか。微妙ですね!ていうか元ネタ台無しですけどね!
→とりあえず秋葉さんを闘わせようとか思ったのにまた闘ってません。跳ばせてはみたけど逃げられてますしね! お嬢様の足技とか書きたいと思ったら無理だった。何かこう、プレイしてる最中はコンボとか書けそうだなーとかぼんやり思うんですが。
生きる為の術なのだと思う。この世界で混血の血を守るためには闇に潜むさまざまな敵を見極めなければならなかった。当主としての定めだと、そうして自らの生きる領域を確保しなければならないのだと、自覚するたびに自らの存在が矮小であると思い至る。
世界から疎外されているのだ、本来ありうるべき姿ではない。
そのおとこを見た瞬間、感覚は刃のような鋭さをもって脳髄を刺激した。存在すべきではない存在――おとこと良く似たひとを知っていた。よく似た、どころではなく目の前に佇むおとことかの人は明らかに表裏一体ほどの近しさを持っていた。表と裏。過去と現在。なのに雰囲気はまるで違う。かのひとが包み込むような眼差しで「秋葉」と呼ぶ、そのくちびると寸分違わぬくちびるが蔑むように歪み「おんな」と呼んだ。
侮蔑の響きを伴った口調。こちらを見下す濃い虹彩。
吐き気がした。この世に居て良い存在ではない。あの人と全てを共有し尚且つ拒絶しあう存在など――嘔吐感は脊髄を駆け上がる熱になり、やがてそれは全身の皮膚を這っていった。髪の先が重くなり、熱が点る。その感覚はひどく心地よいものだった。毀していいのだ、と自らの奥底で暗く低い声が木魂して螺旋を描く。
「愉しいだろう?」
おとこは唇を引き裂いてわらう。狂気に満ちた笑声に、紅く燃えた身体が跳ねる感覚を覚えた。殺したい、このおとこを。深紅に染まった視界のなか、佇むおとこを見据えて思う。
おとこは特に緊張感もない所作で懐にそっと手を入れた。引き抜く。無骨なてのひらに小刀が握られていた。月の光を浴びて刀身が一瞬きらめく。あのひとも、同じ小刀を持っていた――大事そうに柄を握るあのひとの横顔を思い出した瞬間、目蓋の裏に白い残像が走って消えた。その残像の意味をことさらに考えることはしない。残像の消え去った目蓋の裏は闇一色で、その漆黒に恍惚にいどろられた言葉が重なった。
殺したい。
このおとこを。
祈りにも似た意志が意識に侵食するよりも速く、肉体は反応していた。地面を蹴り、飛び上がる。脹脛の筋肉だけでおとこの上背よりも高く飛んだ秋葉を、おとこは興味深げに見上げていた。闘う気配は微塵も見せない。だが熱に包まれた手でおとこの頭を潰そうとしたその刹那、おとこの気配が掻き消えた。
ゆびさきが地面を抉り、異能の熱がアスファルトを溶かす。腐ったガスのような臭い、煙。おとこの声が背後から聞こえた。
「面白いだろう、秋葉?」
秋葉、と。
歪んだ口調のなかで名を呼ぶその声だけは、あのひとの声に酷似していた。わざと似せたのだろう。檻髪を靡かせて振り向くと、おとこはまだ笑ったままこちらの様子を伺っていた。
「貴様は俺に似ているよ、」
「……それは酷い冗談ね。」
「似ているのさ、なあ秋葉」
名を呼ぶな、そう罵りの言葉が唸り声になって咽喉外へと漏れ出した。おとこはわらう。赤い舌を、鈍く光る刀身に宛がう。
「貴様が殺したいのは俺なのか?」
このおとこは一体何を言っているのだ。秋葉は口角をあげて「あなたよ」と告げた。
「兄さん以外は要らないのよ、この世には」
「違うだろう、秋葉?」
秋葉、と。
おとこは真綿のように言葉を和らげ。
「貴様がころしたいのは向こうの七夜だ。貴様はあの眼が欲しいのだろう?」
――秋葉。
おとこのことばに誘われ、一瞬だけ、あの人のひとみを抉る夢を見た。
終わり。
→勝手な設定として、秋葉さんは坊ちゃんの眼が欲しくて欲しくて仕方が無いとか内心思ってますみたいな感じでいきたいのですが如何でしょう。(如何でしょうって)でも坊ちゃんを前にすると傷つけることはできなくて、だから七夜の前だと普段は押し殺している殺意が満開になるんだぜ!みたいなのが燃えると思います。…微妙ですか。微妙ですね!ていうか元ネタ台無しですけどね!
→とりあえず秋葉さんを闘わせようとか思ったのにまた闘ってません。跳ばせてはみたけど逃げられてますしね! お嬢様の足技とか書きたいと思ったら無理だった。何かこう、プレイしてる最中はコンボとか書けそうだなーとかぼんやり思うんですが。
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