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日々のぼやき
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 例えばあのひとの足の形はとてもきれいで、ぼんやりと「足の形に生まれが出る」ということばを思い出したりなんかした。わたしの足は膝の内側の骨がでっぱっていて少しだけみっともない。姉さんの足はきれいなものなのに不思議だといつでも思う。
 
 
 例えばこの家にひきとられたばかりのころ、わたしは時どき姉さんがいなければいいとか思っていた。自分と似た顔が自分とおなじくらい孤独な境遇におちっている図なんてあまり見たくなかったからだ。姉さんがいなければ、例えば実はわたしはすっごくお金持ちの――この遠野の家の子供なんじゃないか、とか想像する事ができたけれど、自分と同じ顔の姉さんがメイドをやっているということは、わたしはやっぱりただの捨て子なのだろうな、と納得したりして。
 姉さんなんかいなければいい、とおもっていた。
 姉さんが大好きなのに、不思議なものだ。
 
 例えばこのごろ、わたしはよく秋葉さまも姉さんもいないこの家を想像したりする。広い家は掃除が大変そうだけれど、わたしは掃除が好きなのでけっこう頑張れると思う。洗濯ものは少ししかないから楽だろう、料理は――何とか頑張りたいとおもう、とか、ぼんやり想像しては胸がわくわくする。秋葉さまも姉さんもいないこの家で、あのひとを独り占めできたらどれだけ幸せだろう――朝起きるときも、夜寝るときもあのひとのとなりで。誰も居ない、ふたりだけの空間で。
 この家にはわたしとあのひとしかいらないと思う。
 秋葉さまも姉さんも大好きなのに、不思議なものだ。
 
 例えばわたしは、すごくいやな人間なのだと思う。姉さんがいなくなればいいとか、秋葉さまがいなくなればいいとか平気で考えてしまえる人間。
 
 例えばあのひとは、こんなわたしを見たら何ておもうんだろう。
 
 例えば、例えば、例えば。
 
 それは夢の中でだけ、願いが叶う不思議な呪文だ。
 
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